January 10, 2026
エスプレッソとは
エスプレッソは、コーヒーの世界でもっとも誤解されている言葉のひとつです。豆の種類でも焙煎度合いでもなく、深煎りの油の浮いた豆でなければ成立しない、というものでもありません。あくまで抽出方法のひとつであり、そう理解することで、そこから生まれる飲み物の捉え方も変わります。
エスプレッソの正体
エスプレッソとは、細かく挽いて固めたコーヒー粉に、高圧の熱湯を通して抽出するコーヒーです。一般的な数値は、圧力9バール前後、湯温90〜96度、抽出比率およそ1:2(豆1グラムに対して液体2グラム)、抽出時間25〜30秒。仕上がりは粘性のある濃縮された液体で、表面にクレマと呼ばれる層が現れます。
クレマについて
クレマとは、うまく抽出されたエスプレッソの表面に乗る、黄金がかった褐色の泡の層です。圧力下でコーヒーオイルが乳化し、抽出過程で閉じ込められた二酸化炭素と結びついて生まれます。良いクレマは豆の鮮度と適切な抽出を示す指標になります。色が淡く薄いクレマは豆が古いか抽出不足、逆にひどく黒くまだらなクレマは過抽出のサインです。
深煎りだけのものではない
エスプレッソには深煎りが必要、という思い込みは、長年のイタリアの伝統と、深煎りが抽出のばらつきを許容しやすいという事情から来ています。技術が決まれば、浅煎りや中煎りでも見事なエスプレッソになります。現在、世界の有力なスペシャルティカフェの多くが、シングルオリジンの浅煎りエスプレッソを主軸として提供しています。
飲み方
ストレートのエスプレッソは、クレマが消え、温度が下がる前に手早く飲み切るのが伝統的な作法です。3〜5分のあいだに、味わいは大きく変化していきます。飲む前にクレマをスプーンで混ぜ込み、味を一体化させてから口に運びます。そしてイタリア流に、バールで立ったまま飲む。それ自体がひとつの儀式です。
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